グラタンドフィノア

<グラタンドフィノアの誕生>

グラタンドフィノアとは

簡単に言えばジャガイモのグラタン。
フランスの南東部にあたるドーフィネ地方のお料理の1つです。
この地方の人たちに、ねぇ、どんな料理が好き?と聞くと
このグラタンを1番にあげる人が多いと言う。
ジャガイモのグラタンなんて、日本で言うと例えば肉ジャガのように全国民に愛されている料理のようなもので、この地方の人たちが好きなのもごくごく当たり前のように感じる。
でも、このグラタンはよくいう素朴で飽きのこない家庭料理、と言う括りでは済まされない。

このグラタンが初めてフランスで登場したのは1788年。
ルイ16世がフランスを治めていた時代である。
この時、王室では財政難に苦しみその打開策の1つとして特権階級の特権を縮小するという法案が出された。
ところが特権階級の人やそれを支持するブルジョワたちが反発して暴動が起きてしまう。
彼らは瓦や石を投げて王の軍隊に対抗した為、この暴動が起こった日は『瓦の日』と名付けられた。
この暴動は反乱軍が激しく抵抗した為、王の軍隊は劣勢となりとりあえず和解することになる。
この和解の為の会食の際に、ドーフィネ地方のギャップ市の役人たちにこのグラタンドフィノアがフランスで初めて振舞われたそうだ。
当時、ジャガイモは農学者のアントワーヌ=オーギュスタン・パルマンティエが普及に尽力し、とても注目されていた新しい食材だった。だから当時の人にとってはこの料理は目新しく反乱軍の心をグッと掴んだに違いない。
しかし、この『瓦の日』と呼ばれるこの暴動はのちにフランス革命のきっかけとなったそうだ。

グラタンドフィノアはまずドーフィネ地方の宿屋で人気を博し、1930年代にはパリにも専門店ができるほどだった。
現在、このグラタンはフランス全土に広まり、どこの家庭でも食べられるシンプルでみんなに愛されるグラタンとなっている。

 

このグラタンにはいろんな作り方があるようだ。
日本でもよく見かけるのはチーズが入ったグラタンドフィノア。
グラタンだからチーズが入るのは当たり前のように思うけれど、本当はグラタンドフィノアにはチーズは入らないらしい。

オリジナルのグラタンドフィノアの主な材料は至ってシンプルで、ジャガイモ、牛乳、生クリームのみ。
チーズを入れないのは、入れると風味が損なわれるという理由らしい。
もし、チーズが入っていれば、グラタン・サヴォワイヤールと呼ぶ。
ドーフィノア地方のお隣のサヴォワ地方のグラタンとなるようだ。

 

<グラタンドフィノアの作り方は2つある>

まず1つ目。
耐熱皿にニンニクをこすりつけ、バターをたっぷり塗っておく。
こうすることにより、グラタンが底にくっつかず、お皿に乗せる時に取り出しやすくなる。
耐熱皿にスライスしたじゃがいも(2ミリほどの厚さ)を並べ、同量の牛乳と生クリーム混ぜたものを半量流し入れる。
表面に塩、胡椒、ナツメグをふり、さらに上にジャガイモのスライスを並べ、生クリームと牛乳のミックスを流し入れ、同じように表面に塩、胡椒、ナツメグをふる。好みで最後にバターの小さな塊を表面に散らす。
150度から160度のオーブンで1時間半ほど焼き、ジャガイモに火が通れば出来上がり。

2つ目の作り方。
この作り方の方が時短ができて、失敗が少ないように感じる。
まずジャガイモは4ミリくらいの厚さにスライスしておく。
鍋にジャガイモを入れ、同量の牛乳と生クリームを注ぎ、ローリエ、塩、ナツメグを入れて、ジャガイモに火をとおす。
ジャガイモにある程度火が通ったら、ニンニクを擦り、バターを塗ったグラタン皿に予め煮ておいたジャガイモを並べる。
鍋に残った牛乳と生クリームのミックスを少し煮詰めて、少しとろみをつける。
このとろみが付いた牛乳と生クリームのソースを、耐熱皿に並べたジャガイモの上から回しかけ、160度のオーブンで30分程焼けば出来上がり。
最後に胡椒をふる。

 

<グラタンドフィノアをプロの味にする3つのコツ>

*焼成温度と時間

グラタンは高温ではなく、低温の150度から160度位の温度でじっくり焼く
1つ目の作り方の場合は1時間から1時間30分ほど焼き、2つ目の作り方の場合は30分ほど焼く。
もし、途中で表面に焦げ目がつき過ぎそうな場合は、アルミホイルを被せて調整する。

*ジャガイモの種類と切る時のポイント


1.ジャガイモは澱粉が多い男爵を使うとソースにとろみがつきやすい。
2.スライスの厚さは4ミリ。均一に切る。
(澱粉が少ないメークインを使う場合は2ミリの厚さに切り、先に紹介した2番目の作り方を採用、ジャガイモの澱粉を出すために少し長めに煮る)
3.ジャガイモの皮を剥いた後はアクを取るために水に晒しても良いが、スライスするときは水に絶対に晒さない。とろみをつける澱粉を流させない為。

*なめらかな食感にするために

焼き上がり直後はすぐに切らない。
最低でも15分から20分程休ませる。
こうすることにより、ジャガイモがクリームの液体を吸い込み、全体が落ち着きなめらかで一体感のある食感になる。

 

<私の、グラタンドフィノアを作ってみた>

材料(5人分):

  • ジャガイモ(男爵)4個から5個、(500g)
  • 蓮根100g
  • 牛乳450ml
  • 生クリーム150ml
  • ローリエ1枚
  • ナツメグ
  • 塩、胡椒
  • ニンニク1カケ
  • バター(耐熱皿に塗る用)
  • オリーブオイル

作り方:

ジャガイモは4ミリの厚さにスライス、
蓮根は2ミリの厚さにスライスしておく

  • 厚手の鍋にオリーブオイルを熱し、レンコンを炒め、ある程度火が通ったら別皿へ取っておく
  • 同じ鍋の中にジャガイモ、牛乳、生クリーム、ローリエ、ナツメグ、塩を入れて8分から10分程煮てジャガイモにある程度火をとおす。
  • ジャガイモをザルにあげ、鍋に残った液体を少しとろみがつくまで煮詰める
  • 耐熱皿にニンニクをこすりつけ、バターを塗り、じゃがいもを並べ、最後にレンコンを表面に並べる
  • 煮詰めた牛乳と生クリームの液体を上から注ぎ、160度のオーブンで30分ほど焼く
  • 最後に胡椒をふる

このグラタンはレンコンが入っているので、正式にはグラタンドフィノアとは呼べないけれど、レンコンの食感も楽しめる。
何より、牛乳と小麦粉を炒めて作るベシャメルソースをわざわざ作らなくていいのが良い。
ジャガイモとレンコンの澱粉がソースにとろみをつけてくれるからだ。
ソースの分量は通常は生クリームと牛乳は同量らしいが、軽く仕上げたいので生クリームは牛乳の1/3にしてみた。

グリルしたお肉やお魚のサイドディッシュとして食べるといいと思う。
このグラタンは作ってすぐよりも、1日経ってからの方が美味しくなる。
表面にホイルを被せて温め直して食べると良い。
寒い冬に、心も体もあったまるグラタンでした。

 

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